自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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蝶の擬態につきましては様々な例が知られていますが、中でも「アゲハ類の若齢幼虫は “鳥の糞” に擬態している」はその代表的な例として広く知られています。(ここで言うアゲハ類とはPapilio属を指しています)
しかし、これについて疑問を呈するかのような記述が何冊かの本に見られるのです。 例えば。。(いずれも「 」内は引用です) (イ)「昆虫の保全生態学 第4章 生活史戦略」(注1) 「アゲハ類の2齢から4齢幼虫は焦げ茶色に白っぽい帯の入った分断色で、これまでは鳥の糞に擬態していると考えられてきた」 (ロ)「蝶の自然史 第14章 アゲハ類の個体群動態」(注2) 「4齢期までのアゲハ類の幼虫は、「鳥糞状」の姿をして鳥の攻撃を避けていると考えられてきた。生命表を作成しても、鳥による捕食圧はほとんど認められない。もっとも、この「鳥糞状」という擬態が本当に有効に働いているのかどうか定量的に裏づけたデータはまったく報告されておらず、今後の課題となっている。」 (ハ)「蝶の生態と観察 第6章 防衛戦略」(注3) 「同じ幼虫を見ても人によって見方、感じ方が異なる。まして、ほかの動物がどのように感知しているか、それが蝶の幼虫の形や色とどう関係しているのか、問題は複雑でむずかしい。」 そうだとすれば再検証してみる価値はありそうです。己のレベルも省みずに生意気にもこんなに重いテーマに挑戦してみようなんて「おぃおぃ、コイツの妄想癖は何とかならんのか。。」との声が聞こえてきそうです。でも、どこまでやれるかわからないけど自分なりに再検証してみよう、と思い立った次第です。とは言え、本気で読まないほうが賢明であることは言うまでもありません。 さてアゲハ類の若齢幼虫が “鳥の糞” に擬態しているのかどうか?につきまして私が疑問に感じた点は次の通りです。 (A)動かないはずの “鳥の糞” が動いていても野鳥は “鳥の糞” だと勘違いするだろうか? アゲハ類の若齢幼虫は日中は殆ど動かずにじっとしています。しかし暖かい季節であれば朝夕に摂食する姿が見られます。(朝夕が寒い時期には日中でも摂食しています) つまり動かない筈の “鳥の糞” が動いているのです。一方で野鳥たちが早起きなのはご存知の通りです。目の良い彼らは当然、動いているアゲハ類の若齢幼虫が “鳥の糞” ではないことに気付いている筈です。それなのに上記の(ロ)に記載の通り「鳥による捕食圧はほとんど認められない」のだとすれば、そこには何か別の理由がありそうです。 (B) “鳥の糞” が大好きなセセリの仲間が関心を示さないのは何故だろうか? セセリの仲間は昼行性ですので餌を探す際にはもっぱら視覚に頼っている筈です。餌かどうか?の最終的な判断には他の感覚器官も動員しているのでしょうが少なくとも最初の段階では視覚に頼っている筈です。けれど少ないですが私の今までの経験ではセセリの仲間がアゲハ類の若齢幼虫に関心を示したり、そういう素振りを見せたりすることなどはありませんでした。もしアゲハ類の若齢幼虫が “鳥の糞” に似ているとするなら何故、セセリの仲間は関心を見せないのでしょう?一方で本物の鳥の糞であればセセリの仲間は好んで吸汁したり場合によっては吸い戻し行動が見られるのはご存知の通りです。 (C)完璧な擬態などはある筈が無いのにアゲハ類の若齢幼虫が鳥に襲われないのは何故だろうか? どんなに立派な擬態であったとしても、それによって全く天敵に襲われないような擬態は知られていません。擬態の実態とは擬態をすることにより、ほんの少しだけ生存率が上がるといった場合が大半のようです。ところが後述(注4)の様にナミアゲハの生命表では若齢幼虫は野鳥には全く襲われていないのです。これって何か変ではありませんか? もしアゲハ類の若齢幼虫が “鳥の糞に擬態” をしているのではないとするなら、彼らはどのような防衛戦略を持っているのでしょうか? そこらにつきましての寝言・戯言・暴論等は次回以降とさせて頂きます。 続く。。 (注1)「昆虫の保全生態学」第4章 生活史戦略 4.1 生物的環境ー動物(1)捕食 渡辺守著 東京大学出版会 2007年 (注2)「蝶の自然史」大崎直太編著 より第14章 アゲハ類の個体群動態 渡辺守著 北海道大学図書刊行会 2000年 (注3)「蝶の生態と観察」第6章 “防衛戦略”より“形態・色彩の変化” 福田晴夫・高橋真弓著 築地書館 1988年 (注4)「昆虫の保全生態学」渡辺守 著 東京大学出版会 2007年より。 「雌によって産下された卵が成虫になるまでにどのような原因でどれくらいの割合で死亡するかをまとめ、表にしたものを生命表といいます。」ナミアゲハはこの生命表が作られている数少ない蝶の1種なのだそうですが、それに依ればアゲハの若齢幼虫は鳥類には殆ど捕食されていません。(1齢~3齢では全く捕食されていません)
by clossiana
| 2018-02-09 20:51
| 蝶の不思議
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Comments(8)
いえいえ、幾つになられても探究心が旺盛だと尊敬して
いますよ。 この問題に限らず、ヒトがヒトの感覚で推察した定説な るものには常々疑問を持っています。 生来の天邪鬼ですからそう思うこともあるのですが、プ テロンさんちでは1齢47.2/95.3卵が3齢で8.4になるそ うですから、擬態だとしてもその効果は小さそうに思え ます。(引用元は渡辺さんだそうですから、同じ方?) 擬態の代案は頭をひねっても思いつかず、そもそも擬態 とは考えていないので、どんな展開になるか大いに興味 があります。 竜と蛇でも笑って許します。(^^ゞ
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で、各論です。
1 擬態とすると、ミカン科の葉や枝は大抵が常緑なので 黒より緑色が効果があると思われること。 2 シャクトリムシのように激しい動きなら気づかれると しても、ゆっくりした歩みでは少々動いてもそんなに変 動を及ぼさないのでは。 3 セセリが視覚に頼っているという根拠は知りませんが、 餌探しは臭覚+視覚だと思っていました。しかも鳥の糞 は大抵白くて、葉の表面に広がっていて立体的ではない ので、欺かれないように思えます。
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clossiana at 2018-02-11 16:18
uke-enさん、コメントありがとうございます。
思うにuke-enさんが定説に疑問を持たれているのは天邪鬼だからではなくて、反対に素直だからではないかと。。ご自身が実際に観察されたものを素直に受け入れると、どうしても世の定説とは相容れない場合が生じるのではないでしょうか。。そもそも、この擬態説(生まれは外国のようです)にしても殆どの本に、まことしやかに書かれていますが大半は権威筋から引用しているだけのような印象がします。(もっとも、その点では私も似たようなものですが。。)
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clossiana at 2018-02-11 16:20
uke-enさん、コメントありがとうございます。 各論についてですが。。 1.もし鳥の糞に擬態をしているとするなら、緑葉上で黒い色をしていたとしても(=目立っていたとしても)、差し支えないのではないでしょうか。何せ鳥の糞だと思い込ませているのですから。。緑色であれば、むしろ保護色(=隠蔽色)だと言えそうです。 2.激しい動きでなくとも、わずかな動きであっても野鳥は気付くと考えています。もともと視力がすごいですし、それに彼らは餌を探しているのですから、それを見つけられるかどうかは、ずっと切実な問題のはずだからです。 3.セセリは昼行性ですから、仰られていますように臭覚+視覚なんでしょうが、順番から言えば先ず視覚でないでしょうか。。と言いますのは臭覚が先だと夜行性の蛾類と変わらなくなってしまいます。そのセセリが騙されないとすれば騙されているのは人間だけでは?と考えるに至りました。
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at 2018-02-11 16:33
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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clossiana at 2018-02-13 13:39
鍵コメさん、別途、ご連絡させて頂きます。
素早く動く鳥からしてみると蝶の幼虫の動きは止まって見えるのではないかなとは思いますがどうでしょう。
私も子供の頃からこの鳥の糞擬態説はかなり疑わしいなあと思っていました。 なので今後のclossianaさんの観察がすごく楽しみです。 でもナガサキアゲハ幼虫のお写真を拝見しているとこりゃ多少なりとも効果があるのではないかな、という気にもなってきますね。
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clossiana at 2018-02-15 16:36
naoggioさん、コメントありがとうございます。
動きの素早い野鳥であっても野鳥は幼虫を生きる糧としているのですから見つけられないと餓死する憂き目となります。想像ですが恐らくは僅かな動きも見逃すまいと目を凝らしているのではないでしょうか。。 ナガサキであれ他のアゲハ類であれ、若齢幼虫は鳥の糞に似ていることは似ていますが問題は野鳥の目でも騙されているかどうかです。本当はどうなんでしょうね?
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