自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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先の拙ブログ10月13日付けの続きです。孵化後の幼虫が作る “巻きひげ状” の食痕について私は次のような形成過程を考えていました。即ち。。
a:先ず孵化後の幼虫は大挙して葉の先端部へと向かう。 ↓ b:次に幼虫たちは葉の中脈を残して、その両側の葉を食べる。 ↓ C:その結果、葉の先端部が “巻きひげ状” となる。 ところが実際には “巻きひげ状” ではない食痕も見られました。そこで、もう少しデータを集めてみようと2回にわたって調査を試みました。以下はその結果です。 観察日:10月上旬 (A)巻きひげ状の食痕 → 全体の39% 内訳 1齢幼虫:9集団 2齢幼虫:0集団 幼虫なし:0集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース (B)葉先の食痕は巻きひげ状となっていない → 全体の 48% 内訳 1齢幼虫:11集団 2齢幼虫:0集団 幼虫なし:0集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース (C)例外の食痕(葉の中ほどに食痕はあるが先端部には食痕が無いケース)→ 13% 内訳 1齢幼虫:3集団 2齢幼虫:0集団 幼虫なし:0集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース -------------------------------------------------------- 合計 :23集団 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 観察日:10月中旬 (D)巻きひげ状の食痕 → 全体の 58% 内訳 1齢幼虫:8集団 2齢幼虫:8集団 幼虫なし:5集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース (E)葉先の食痕は巻きひげ状となっていない → 全体の 31% 内訳 1齢幼虫:5集団 2齢幼虫:3集団 幼虫なし:3集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース (F)例外の食痕(葉の中ほどに食痕はあるが先端部には食痕が無いケース)→ 11% 内訳 1齢幼虫:3集団 2齢幼虫:1集団 幼虫なし:0集団 → 幼虫はいないが卵殻と食痕が残っているケース -------------------------------------------------------- 合計 :36集団 ご注意点 ◎この2回の調査では必ずしも同じ集団を見たわけではありません。サンプル数も違っています。 ◎同じ集団であっても齢数の異なる幼虫が混在しているケースでは数の多い方をとりました。 (例)同じ集団に1齢幼虫が3頭、2齢幼虫が5頭いたとしたら、2齢幼虫の集団とみなしました。 この調査の結果、少し強引に結論を導くとすれば以下のような内容となります。 「当地に於けるオオヒカゲの若齢幼虫の集団はカサスゲの葉先に “巻きひげ状” の食痕を残す場合が多い(約60%)この食痕の形成期間は概ね、孵化後の2~3週間の間である。但し、必ずしも、この形状の食痕が残るわけではない。それは以下のような理由によると考えられます」 (イ)孵化後、間もない時期(特に1齢幼虫集団の場合)には未だ、この食痕は形成されていないケースがあります。 (ロ)幼虫の頭数が少ない場合、例えば1卵塊の卵数が少ない場合とか死卵が多い場合はこの食痕は形成されない。 (ハ)カサスゲの葉の先端が垂れていて地表に接しているような場合は、幼虫は葉の中ほどの部分から食べ始めるので葉の先端にはいかなる形状の食痕も残らない。食痕が残っているのは葉の中間部である。 (ニ)一つの葉に2卵塊以上が産付されたような場合には葉先の中脈も食べてしまうケースがある。 (ホ)卵塊が産付された葉が未だ新葉の場合は中脈も未だやわらかいせいなのか、中脈も食べられてしまう。 (ト)上記以外にも様々なケースがあるようです。 何故オオヒカゲの若齢幼虫の残す食痕の形状に、こだわってきたのかと言いますと私の手元にある文献類には、このことに言及しているものが無かったからです。オオヒカゲの幼虫が残す食痕についての記載があるとすれば、どれも一様に “食草の葉を斜めにスパッと切ったような食痕を残す” となっているのです。これは越冬明けの3齢以降の幼虫が残す食痕であり若齢幼虫では全く違っているってことを確かめておきたかったのです。 この観察結果は私の予想とは違っていましたがオオヒカゲについての謎解きの一つが私なりには終了しましたので、やれやれです。
by clossiana
| 2017-11-10 21:30
| ジャノメチョウ科
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Comments(8)
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himeoo27 at 2017-11-11 20:51
オオヒカゲの若齢幼虫の食痕から
ここまでデータを取って整理した ところが凄いです。
0
写真を拝見すると食草先端部を1〜2箇所の耳と軸を残して綺麗に食べた場合に巻きひげになっているようですね。
ある程度の数の幼虫がいないとダメなようなので、この巻きひげはオオヒカゲの若齢幼虫が元気な活動している(或いはしていた)しるしということですね。 図鑑への記載は「また1〜2齢の若齢幼虫は食草の先端部を中心の硬い軸を残して食す事が多く、その食べ残しの部分は度々巻きひげ状を呈するので幼虫探索の際は発見の一助となろう」 こんな感じですか?
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clossiana at 2017-11-13 16:16
himeooさん、コメントありがとうございます。
昨年、若齢幼虫の残す食痕の特徴に気付きまして機会があれば調べようと計画していました。とにかく、ある程度のサンプル数がないとデータとしては使い物にならないと考えていましたので、やる気のあるうちに終わらせてしまおうという方針で臨みました。但、データ数がある程度、まとまっても単年度の調査ではやはり信頼性に問題が残ります。でも来期以降も調べようという気力がもう無くて、それが問題です。
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clossiana at 2017-11-13 16:17
uke-enさん、コメントありがとうございます。
この種の調査の意義は何かと言えば、そんなものある筈ありません。そういう、しょうもないこと、どうでもいいこと、何の役にも立たないこと等を性懲りも無く、やり続けるのが私のモットーです。まぁ、その原動力は何かと言えば調べることとか謎解きとかが面白いからでしょう。ところで、この調査は女史と分担して行っていまして見つけるのは女史の役目、私はそれを書き留めるだけです。私にこんな数、見つけられる筈、ありません。
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clossiana at 2017-11-13 16:17
naoggioさん、コメントありがとうございます。
観察した半数以上の集団が、こういう形状の食痕を残すことがわかりましたが、この形状の食痕が残る条件としては幼虫の頭数が多すぎず、少なすぎずという風にデリケートな面があることもわかりました。図鑑への記載の部分ですが「幼虫探索の際は発見の一助になろう」の部分は不要だと思います。オオヒカゲの立場であれば間違いなく「余計なこと調べたり、書いたりしないでほしい」と思っている筈だからです。
疑問に思ったことを納得できるまで調べるというのは生態観察における基本ですね。
私だと数回の観察で分かったような気がしてしまうのですが、色々なケースについて観察例を増やしていくというのも、基本ではあるけれどなかなか出来る事ではないので素晴らしいです。 相談しあえる仲間がいるというのも大切ですね。
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clossiana at 2017-11-16 16:37
ダンダラさん、コメントありがとうございます。 疑問に思ったことを調べ始めると、その過程でかえって別の疑問が噴出し始めて収拾がつかなくなるのが悩みです。今回の場合であれば、巻き毛にならない理由が掴めないケースが続出したり、集団でいる時期がはっきりしないこととか、集団でいることのメリットが何なのかがわからないとか、色々です。データにつきましても多いにこしたことはないのでしょうが、データを蓄積すれば必ず何かが見えてくるという訳でもなくなかなかすっきりとはいきません。仲間は大切ですね、仰られる通りです。役目の分担も助かりますが、何と言っても冗談を言い続けながらですので、知らないうちに何となく活力が生まれてくることです。
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