自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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“ミスジ幼虫の葉柄に対する吐糸行動とかみ傷をつける行動への考察”
ミスジの幼虫はカエデの葉柄と小枝に吐糸をして葉が落ちないようにします。 この行動について私の手許にある文献では“カーテン”を作る若齢期を除けば全て“冬季への備え”として記述されています。 しかし葉柄への吐糸は7月にはすでに始まっています。 “何故そんなに早くから吐糸を始めるのでしょう?” それにつきまして当初、私は“強い風雨に対する備えではないのか?”と考えていました。 しかし、それは間違いでした。このことは実際にカエデの葉を手で引っ張ってみればわかります。たった1枚の葉でも簡単にはとれないのです。 では“何の為に吐糸をして葉柄と小枝をしっかりと結び付けようとするのでしょう?” それは幼虫自身が葉柄の部分にかみ傷をつけるからです。 この理由により葉は落ちやすくなってしまうのです。それで幼虫はそれを防ぐべく葉柄に吐糸をして葉が落ちないようにしているのです。 でも、そうだとすれば新しい疑問が湧いてきます。 “一体何の為に葉柄にかみ傷をつけるのか?”という疑問です。 図鑑(注1)によれば「幼虫はさらに葉柄部にかみ傷をつけ、葉をしおらせてからその葉を摂食するという習性を示すようになる」という記述があります。つまり“かみ傷をつける理由は葉をしおらせてから摂食する為である”と。。でも、これは本当でしょうか? 確かに幼虫の周りにはしおれた葉や枯葉があり、それには食痕がありました。それでも私はこの記述には依然として首を傾げざるを得ません。それは何故かと言いますと。。 (A)先ず緑葉にも食痕があることです。幼虫にとって緑葉も摂食が可能であるとするならば、わざわざ葉が落下するかもしれないリスクを負ってまで葉柄にかみ傷をつけるのは理にかなっていないと考えるのが自然です。でも、この考えに対しては“薄茶色をしたミスジの幼虫が緑葉上で摂食すれば目立ってしまい捕食者に見つかりやすいのではないか?”との反論が可能です。 でも、それに対しては次のように再反論が出来ます。“そもそもミスジの幼虫は暖かい時期の日中には殆ど摂食をしないで葉上でじっとしているだけなのです”と。。 主に夜間に摂食をしているのだとすれば体色は問題とはなりません。(注2) 緑葉上の食痕 (B)ミスジの幼虫は1~2齢の頃には葉上にいわゆる“カーテン”を作る習性があります。もしもこの目的が言われていますように自身を隠蔽するか又はダミー効果等の防衛行動であるとするなら、体のサイズが大きくなり、且つ“カーテン”を作る習性が無くなる3齢以降の幼虫が捕食者に対して何の防御法も施さないで無防備なままでいるというのは何か変です。 そこで次のように考えられないでしょうか? 前述のようにミスジの幼虫は日中の大部分の時間を枯葉上でじっとして過ごしています。これがもしも緑葉上であったとするなら薄茶色をした幼虫は目立ってしまい捕食されてしまう確立が上がるでしょう。 それで“幼虫は隠蔽効果を生むべく葉柄にかみ傷をつけて葉を枯らせ、葉の色を自身と同じ薄茶色にしているのではないか?”と。。つまり“幼虫が葉をしおらせたり枯らせたりするのは図鑑に記載のような摂食が目的ではなく、自身をカモフラージュする為である”と。。 カモフラージュ用の枯葉 上記を踏まえての私の仮説は以下の通りです。 “3齢以降のミスジの幼虫が早い段階(観察地では7月中旬頃)から葉柄と小枝に吐糸を施す理由は冬に備える為だけではない。むしろ主目的は自身が葉柄につけた“かみ傷”によって葉が落下するのを防ぐためである。何の為に葉柄に“かみ傷”をつけるのかといえば“葉をしおらせて摂食すること”が主目的ではなく、捕食者から身を守るべく葉を枯らせて幼虫と同じ色である薄茶色にすることによって“隠蔽効果を得るため”である。 皆さんのご意見をお聞かせください。。 今期以降の課題 a:1~2齢の幼虫が棒状物の先端に静止する習性にはどんな意味があるのでしょうか?この謎の解明。(この習性を解明するには幼虫よりも主な捕食者が何者なのかを解明することが近道かもしれません) b:数字的な裏付けをとる。 b-1:卵が産付された葉の葉柄部分への吐糸が施されている場合があるか?あるとすれば何例中の何例か? b-2::吐糸が確認出来た時の幼虫の齢数は何か?2齢は何例? 3齢は何例? b-3:幼虫は周りの何枚の葉に吐糸を施すのか?1枚は何例? 2枚は何例? 3枚は?4枚は? b-4:葉柄にかみ傷をつける行動は何齢から見られるか? 2齢では何例中の何例? 3齢では? (注1)原色日本蝶類生態図鑑 福田晴夫ほか編 保育者 昭和58年 (注2)「蝶の生態と観察」福田晴夫+高橋真弓著 築地書館 1988年には次のような記載があります。 “警戒色をもたない褐色型の幼虫が、日中食草上で摂食することは、種族保存上不利であり、褐色型の幼虫は本来夜行性なのかもしれない”
by clossiana
| 2016-01-29 22:18
| 蝶の不思議
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Comments(4)
御説は理に適っていて、ミスジチョウ幼虫の行動を実にうまく説明されていると思います。
図鑑に書いてあることも、結局は誰かの考えですから、図鑑に書いてあるからと鵜呑みにせず、疑問が生じたら観察を積み重ねて自分なりの意見を持つことは大切なことですね。
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clossiana at 2016-02-03 20:47
ダンダラさん、コメントありがとうございます。
私自身は↑の仮説に大きな間違いはないと考えています。 但、問題が一つありまして、「葉をしおらせてから摂食するという習性」がミスジのみならずNeptis属に共通した習性のように記述されている文献があることです。 ですので,この仮説を補強する為にはミスジ自体の観察の継続の他にも例えばコミスジも観察するなどの必要があるのかもしれません。 でもそうなると長くかかりそうで尻込みしてしまいそうです。 “図鑑を鵜呑みにせず。。”につきましては実際に図鑑作りに携われたご経験のあるダンダラさんのお言葉ですので心強い限りです。
おっしゃる事は非常に信憑性が高いように思われます。
つまり自然に受け入れられますね。 枯れ葉の範囲が広がる事で、カモフラージュ効果は格段にアップしますものね。 薄茶色の体色という一事がこれだけ大掛かりなの行動の要因なのだとすると本当に面白いです。
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clossiana at 2016-02-05 16:41
naoggioさん、コメントありがとうございます。
ミスジの幼虫の防衛戦略の基本は“とにかく葉上でじっとして動かない”ことだろうと思っています。 その上でカモフラージュ効果を高めるべく葉を枯らしてしまう作戦なんでしょうね。この方法は視覚で餌を探す、例えば野鳥なんかには有効なんでしょうが、それでも1齢~4齢の内に幼虫数は激減してしまうのですから“この方法は一体、本当に有効なんだろうか?”と思わずにはいられません。枯葉の無い時期には却って目立ってしまうような気もします。なので取りあえずは主たる捕食者は何者なのか?どんな相手に対する防御法なのか?を知りたいのです。
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