自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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ー吸蜜行動の撮影顛末記ー
今から8年前、初めてルーミスに出会った時の事です。 4月でしたが地面に落ちた椿の花でムラサキシジミが吸蜜をしていました。とても綺麗なシーンでしたのでビデオカメラに、ゆっくりと沢山撮らせてもらい、立ち上がった時です。 近くの地面から一頭の小さな白っぽい蝶がパラパラと舞い上がったのです。 目で追っていましたら、やがて、その蝶は近くの灌木の葉上にとまりましたので、よく見ると、何とそれが生まれて初めて見るルーミスだったのです。 図鑑で何度も見ていた裏面の模様が目に飛び込んできたのでした。心臓がドキドキして破裂寸前でした。 しかし、その蝶のとまっていた場所はカメラには少し遠すぎましたので、覚悟を決めて小枝を投げつけましたら、無情にも、その蝶はパラパラと梢へと舞い上がって消え去ってしまったのです。 それで「一生に一度だけかもしれないチャンスだったのに。。」との無念さに茫然として、しばらく立ち尽くしてしまいました。 ふと足元を見ると先ほどのムラシが未だ椿で吸蜜をし続けていましたので「あのルーミスが、この花にこないかな」と思い、それからも更に待ち続けたのですが2度とは現れませんでした。 図鑑を調べると「吸蜜したとの報告例はない」との記載がありました。 それを読んですぐに「7月に羽化して、そのまま翌年の春まで、水分やミネラルだけで生きれるものなんだろうか?」「糖分は必要ないのかな?」との素朴な疑問が湧いてきました。勿論、人間にあてはめて考えても仕様がないのはわかっていましたが、私の頭には、あの時のムラシの吸蜜シーンが頭から離れなかったのです。 春の目撃経験から棲息している場所がわかりましたので、その年の真夏にはヒルの猛烈な襲撃にもめげずに何度となく房総へと出かけ、この蝶が思いのほか沢山生息していることがわかりました。 ところが、この蝶は房総以外では個体数がどこでも少ないことがわかり、「吸蜜シーンが観察されていないのは、もともと個体数が少ない為で、絶対に吸蜜してるに違いない」「いつか絶対、見つけてやる」と心に決めたのです。 又、同時に「もし、吸蜜が見られるとすれば、それは春に違いない」とも考えました。 それはムラシの吸蜜が殆ど春にしか見られないのを経験上でも文献の上でも知っていたからです。 そんなこんなの中で、やがて、その日がやってきたのです。 05年3月21日、少し後ろを歩いていた同行のpapilabo女史が「これは何?」と言いながら、少しかがんで灌木にむかって何かを撮っていました。その声を聞きつけ、戻ってみて、「アッ!」と心の中で叫びました。何とルーミスがアセビで吸蜜していたのです。 自分では、はっきりとは覚えていませんが、恐らく女史にむかって何度も「ちゃんと撮ってよ」とわめきちらしていたのでしょう。女史が「撮るの代わる?」と何度も言ってくれていたのです。 でも私はビデオカメラしか持っていませんでしたから「いいから、いいから、先に撮って。でも、ちゃんと撮ってよ」とまたもや女史に対して命令調で、わめいていたのだそうです。 自分で見つけたのなら、ともかく、そうではないのに。。。。 そう、私は件のアセビの脇を女史よりも先に通過していたのです。 けれどルーミスには全く気づかなくて、それに気づいたのは、あろうことか当時、未だルーミスかどうかの判断もおぼつかなかった女史の方だったのです。 「ああ,無情。。」とは、こういうことか、との思いが一瞬、頭をよぎらなかったわけではありません。でも、それより私は、あの時は深い満足感に満たされていました。 それは殆ど妄想と言ってもいい程の思い込みに、ついに日が当たり、実証されたからでした。 ↑の写真はやがて、かっての「蝶研フィールド」の誌上の片隅に発表させて頂くことが出来ましたし、その後は翌06年3月にbanyanさん達によって、今度は、この蝶のヒサカキの花での吸蜜も確認され、ルーミスの訪花性が追認されたのです。 この成果をもたらせてくれたのはムラサキシジミです。ルーミスを初めて目撃した、その日にムラシが吸蜜をしていなかったらルーミスの訪花の記録が無い事に何の疑念も抱かなかったに違いありません。 近縁の蝶達は思えば当たり前なのですが95%以上、互いにそっくりの筈です。 ですので私は今でも「ルーミスのことはムラシに学べ」をモットーにしています。 やまのあなたのそらとおく 「さいわい」すむとひとのいう。 ああ、われひとととめゆきて、 なみださしぐみ、かえりきぬ。 やまのあなたのそらとおく 「さいわい」すむとひとのいう。 やまのあなた / カール・ブッセ作 : 上田敏訳
by clossiana
| 2008-11-28 08:05
| 蝶の思い出
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Comments(14)
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cactuss at 2008-11-28 22:32
ルーミスの吸蜜をついに見付けた時に気持ちはお察しします。
しかし、papilaboさんが先に見付けてしまうところが不思議ですね。 吸蜜は3月頃ですか、一度、行ってみようと思います。
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clossiana at 2008-11-29 13:07
cactussさん、コメントありがとう御座います。私がルーミスを見つけられなかったのは日頃の行いのせいですので仕様がないですが、強いて弁解がましく言わせてもらえれば目線の違いです。ルーミスを探すときの目線は梢を見上げているか、または地面を見ているかですので中間の高さは盲点だったのです。言い訳がましいかな?
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thecla
at 2008-11-29 14:06
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このルーミスの吸蜜は衝撃的でしたね。この画像を見たから3月に狙おうということになって、ヒサカキでの吸蜜が撮影できました。
ムラシに学べということだと、秋にも吸蜜があるかもしれないですね。ムラシ、ムラツは秋に吸蜜を見ますから。 秋は花が無いと思っていたのですが、シロダモが狙い目かもしれないと思っています。
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clossiana at 2008-11-29 20:12
theclaさん、コメントありがとう御座います。私自身は未だムラシ、ムラツの吸蜜を秋には見たことがありませんが、仰られる通りなどだとすれば次回から、もっと注意して見てみます。やっぱり予見や思い込みだけではなく、もっと素直に自然を見る事は大事ですね。とりあえず今は何が開花中なのか調べてみます。貴重なご意見ありがとう御座いました。
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banyan10 at 2008-11-29 20:22
いただいた「蝶研フィールド」の別刷を見直してみました。
貴重なシーンの発見というのは先入観のない方が良い場合もありますね。 最近はアセビの花があまり付かないようですが、今度の春は咲いてくれるでしょうか。 ヒサカキよりも絵になるので、アセビでの吸蜜は撮影したいです。
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chochoensis at 2008-11-30 08:50
clossianaさん、=ルーミスシジミ=の吸蜜観察記・・・とても素晴らしい文章に感心しました、その時の感激がこちらに伝わってきます・・・二回も読み返してしまいました。
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kenken
at 2008-11-30 20:04
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あっ!写真を見て思い出しました。蝶研F誌の記事を。
「ルーミスのことはムラシに学べ」は当たっていると思います。この2種、夏と冬~春では、まったく生態が違う感じですね。ムラシも春には吸蜜をよく見かけます。ギフが飛ぶ前にルーミス吸蜜を狙ってみるのも面白そうです。
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clossiana at 2008-12-02 07:35
banyanさん、コメントありがとう御座居ます。私は植物が詳しくないので、はっきりわかるわけではないのですが、あそこのアセビが、この頃、殆ど開花しないのは日当りが徐々に悪くなっているせいでは?と思っています。それで背丈だけはぐんぐんと伸びているのに開花をしないのではないでしょうか。
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clossiana at 2008-12-02 07:48
chochoensisさん、コメントありがとう御座居ます。あの時のことは今でも昨日のことのように、よく覚えています。フィールドに行った時、幅広い興味を持っていれば色々なことが目に飛び込んで来るのに、何かの目的を持ってしまうと逆に目の前のことでも見えてきません。その点でchochoensisさんの視野は凄いです。
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clossiana at 2008-12-02 08:02
kenkenさん、コメントありがとう御座居ます。この両種は、仰られていますように夏は深い樹林帯に棲息(高い山でのムラシは別ですが)していますが秋〜春は日当りの良い林縁にも進出してきますから、とても良く似ています。ルーミスの吸蜜はギフの前ですが交尾とか別の秘密にせまるにはギフの前ではなく、ギフと同時期の方が良いみたいです。
ルーミスの吸蜜シーンはいまだに覚えています、ちょっと衝撃的でしたね。
あそこのアセビはおっしゃるように日の当たりが悪くなったのが原因かとは思いますが、もともとあまり蝶の来ない花なのでなおさら貴重な写真だと思います。 不思議なもので、そういった知識があるとそれなりの写真が撮れてしまいますが、何でも最初は大変ですよね。 関東のみんながルーミスの撮影を比較的簡単に楽しめるのはお二人のおかげだと思います。
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clossiana at 2008-12-02 14:16
ダンダラさん、コメントありがとう御座居ます。アセビの開花の時期を近所の他の場所で確認した上で行ってみても、あそこでは咲いていないことが多くて何度もがっかりしています。房総なのに何で?と思ってしまいます。あの場所の環境が少なくとも観察者にとって悪化しつつあるのは間違いないのですが、当のルーミスにとっても悪化なのかどうかがはっきりしませんので、秘かに行動を起こすかどうか迷っています。
ルーミスシジミの貴重な体験談ですね。初めてお会いした頃に記事のコピーをいただきましたが、こういう経緯があったのですね。楽しく拝見しました。悲しいかな、吸蜜どころかまだ間近かで見ていないのです。
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clossiana at 2008-12-02 20:01
mtanaさん、コメントありがとう御座います。冬の間にルーミスの開翅が見られるとすれば基本的には冬型の気圧配置が崩れている時です。そういう日がシーズン中に何度か必ずあります。その時は気温が高いのが普通です。でも残念乍ら見れるとは限りません。そこがこの蝶の観察の難しいところですが、でもそこに醍醐味があります。渓流の釣り人が魚との駆け引きを楽しんでいるのと似ています。いずれにしましても今度、いつか機会がありましたら、ご一緒させて頂きたいです。
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