自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
フォロー中のブログ
90% Papillon... 登山道の管理日記 てくてく写日記 愛野緑の撮影記録 蝶の観察記録その2 呑むさん蝶日記 蝶・チョウ・ゆっくり歩き... 鳥蝶ビデスコ フィールドノート 四季彩散歩 小畔川日記 探蝶逍遥記 ヘムレン の Natur... 蝶の玉手箱 安曇野の蝶と自然 NATURE DIARY みなみかぜ通信 ヒメオオの寄り道 うすばしろちょう ひらひら探検隊 NPO法人 日本チョウ類... たかがヤマト、されどヤマト 秩父の蝶 カテゴリ
全体 プロローグ 蝶の思い出 私の宝物 蝶の不思議 アゲハチョウ科 シジミチョウ科 ジャノメチョウ科 シロチョウ科 セセリチョウ科 タテハチョウ科 マダラチョウ科 テングチョウ科 いろいろな蝶 いろいろな虫たち 蛾 類 カミキリ類 トンボ類 その他 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
昨年からの引き続きの調査です。卵塊から孵化したオオヒカゲの幼虫たちはしばらくの間は互いに寄り添うように集合していますが、やがて或る時期ともなると集合性を失い、互いにばらばらになり始めます。
この幼虫たちが集合性を失う時期について図鑑(注)には次のような記載があります。 「 」内引用 「群集性は越冬時まで残っているが、1群の幼虫数は分散、天敵による捕食などにより次第に減少する」 さて、この調査の目的は「群集性は本当に越冬時まで残っているか?」です。と言いますのは。。 ◎少ないですが今までの私の観察経験では例え越冬前であっても単独個体が少なからず見られたこと。 ◎越冬時にはすでに気温が低いので幼虫は分散したくても動けないだけで群集性を持っているとは限らないのでは? ◎越冬に適した部分は食草の根元の凹部に限られているので否応無くそこに集中するからではないのか? そこで昨年、最初の調査を11月末に行いました。そして「越冬前の時点で、すでに集合性は薄れ始めている」という結果を得ることが出来まして、これは概ね予想通りでした。(拙ブログ2016年12月10日付け) 但、昨年は集計の仕方に問題があったと後で気付いたのです。実態を正確に捉えるためには、あらかじめ言葉をきちんと定義しておかなければならないと気付いたのです。 そこで以下のようにルールを決めました。 (A)同一の葉上の個体間の関係を以下のルールでカウントする。 (B)集団とは幼虫同士が互いに触れ合っている(=寄り添っている)場合です。 (C)バラとは複数の幼虫がいたとしても幼虫が互いに離れている場合です。 (D)ミックスとは触れ合っている個体とバラの個体が混在している場合です。 さて、上記のそれを踏まえた上での10月末に行った調査の結果は以下の通りでした。 (A) 集団: 4例 → 9% (B) バラ: 27例 → 63% (C) ミックス: 11例 → 28% -------------------- 合計 43例 観察結果(観察日:2017年10月末) (イ)観察を行った10月末の時点で、すでに大半はバラの個体となっていた。 (ロ)この時期の幼虫はほぼ全て2齢であった。このことから本種の集合性は1齢の時には認められるが2齢になった時点から分散が始まっていると考えられた。 (ハ)この結果、図鑑に記載の「群集性は越冬時まで残っている」については再検証の余地があると思われました。 そもそも集合性があるとすれば、集合することに何らかのメリットが無ければなりません。そこにメリットが無ければ同種の他個体とは餌をめぐる競争相手でしかないからです。この種の場合、メリットがあるとすれば、集団でいることで捕食されるリスクを軽減出来る(=希釈効果)とか、1頭では食いつけないような固い餌でも仲間とであれば食いつけるとかが考えられます。 しかし、もし希釈効果を期待するのであれば何故、越冬後には分散するのか?越冬後には何故、希釈効果を期待しなくても良いのか?を説明出来なければなりません。又、オオヒカゲの場合は2齢になれば間違いなく単独で餌に食いつけています。 これらの理由から目下のところ私は「本種の集合性は2齢になった時点から失われ始めている」と考えています。但し、今回の観察法は或る致命的な欠陥を持っていることが後でわかりました。それは、それぞれの頭数を迂闊にもカウントし忘れたことです。4集団が確認出来たのは良いとしても、その4集団を構成しているのが何頭なのかがわかりません。これでは実態を捉えきれていませんので、やり直しをするしかありません。ですので結論は来年以降に持ち越しです。 (注)原色日本蝶類生態図鑑 福田晴夫他編 保育社 昭和59年
by clossiana
| 2017-11-24 21:05
| ジャノメチョウ科
|
Comments(4)
今晩は。
私がオオヒカゲを飼育した時も越冬前の幼虫は(同じ卵塊由来かはわかりませんが)ばらけて活動していたと思います。 越冬時には根っこの方に降りてきて2匹直列になっていましたが、その他の2頭はどこにいるのかわかりませんでした。 若齢幼虫の集合性はさほど強いものではないのでしょうね。 オオヒカゲの若い幼虫が寝ている時が、あの「つくね串」と一番よく似ていますね(笑).
0
Commented
by
clossiana at 2017-11-27 16:09
naoggioさん、コメントありがとうございます。 今回の調査ではっきりさせたかった点は図鑑に記載の様な「群集性は越冬時まで残っているが。。」の如き季節や時期に関わる表現法ではなくて「群集性は何齢まで残っているのか?」ということでした。 naoggioさんもご経験されていますようにカサスゲの場合は湿性植物ですので根元が水面下の場合が多く、従い、オオヒカゲの幼虫はバラバラになりたくてもなれないだけのような気がするのです。ですので、しっかりとデータを集めたつもりでも、食草の根元が水面下なのか、そうでないのかによって、まるで違う結果となる可能性が高そうです。来年以降の調査はその辺りを踏まえて再挑戦です。あの「つくね串」はオオヒカゲが頭部を下に向けて、お辞儀ポーズでじっとしている時に一番、似ていますね。仰られている通りだと思います。
疑問に思われたことを、実際に野外で調べられる態度にはいつもながら頭が下がります。
気になったので、私も図鑑を見てみましたが、たしかに「群集性は越冬時まで残っているが、…」という記載がありますが、そのあとに「越冬態はおおくは2齢、ときに3齢で‥」という記述がありますので、コメントの返事でご指摘の「季節や時期にかかわる表現法ではなくて…」という点に関してはどうなんでしょう。 それはそれとして、「集合性は2齢になった時点から失われ始めている」というお考えはなるほどと納得させられました。
Commented
by
clossiana at 2017-11-30 16:32
ダンダラさん、コメントありがとうございます。 昨年の調査では群集性が認められた個体(多くは2齢)の割合が67%でした。今シーズンは昨年より調査をした日が早かったにもかかわらず31%と半減していました。(カウントの仕方が違いますので一概には言えませんが。。)この理由は今年は夏に気温の低い日が多かったせいか?例年よりも産卵日が一ヶ月ほど早まり(8月末には卵塊を確認しております)それで幼虫の分散時期が早まったのであろう?と考えております。このことは分散時期を決定している要素が、孵化後の幼虫の日数(=齢数)であって、時期とか季節ではないことを示唆しているように思えるのです。 ご指摘頂きましたように図鑑の記載が越冬時の齢数に触れていない訳ではありません。但、その記載を普通に読めば「群集性は越冬時まで残っている。(その時の齢数は)おおくは2齢、ときに3齢で」と読めます。しかし現実には↑のデータのように年によっては越冬時以前に、すでにバラの個体の方が多いのです。恐らく最も重要なことは、年によって分散時期に差があるという事実です。これは既知の説明のどこかに間違いがあることを物語っているのではないでしょうか。。
|
ファン申請 |
||