自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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栃木の平地ではコムラサキは年2化であると「新・栃木の蝶」には記載されています。(注1)ところが今年の9月初旬に非越冬型の2齢幼虫や終齢幼虫が見られましたことは先の拙ブログ2017年9月15日付けの通りです。それで、これは何か変だな?と思い少し調べてみようと思い立ちました。即ち。。
「これらの個体は2化ではなくて3化の個体ではないだろうか? 」 「もし、そうだと言い切れるとすれば、それはどんな条件 を満たしている場合だろうか?」 について考えてみたのです。 そこで先ず考え方の前提となる条件を書き出してみました。 (A)先の文献(注1)によれば1化の成虫の出現時期は6月中旬~7月中旬とされています。 (B)同様に2化の出現時期は8月上旬~9月下旬とされています。終見日は9月28日(小山市)となっています。 (C)図鑑(注2)によれば、この蝶の産卵から羽化までに要する日数は44日(=約1ヶ月半)となっています。 (D)この蝶の越冬は普通は2~3齢幼虫とされています。 更に上記の既知のことがらを組み合わせると次のようなことが言えます。 (E)もし1化の成虫が7月中旬に卵を産付した場合に2化の羽化日は8月下旬となる。 (F)もし1化の成虫が6月中旬に卵を産付した場合に2化の羽化日は7月下旬となり、これは上記の(B)とほぼ符号が合います。 (G)この(F)の個体が卵を産付した場合は9月中旬が羽化日(=3化の成虫)となります。 これらの全てを合わせると次のようなことが言えます。 (H)もし9月中旬以降に新鮮な個体が見られたら3化である可能性が高い。 (I)もし9月中旬以降に4齢以上の幼虫や蛹が見つかれば3化である可能性が高い。 (J)もし10月以降に成虫が見られたら3化である可能性が高い。 この考え方を基にして9月中旬以降に現地へ何度か足を運んでみました。その結果は以下の通りです。 これらのことからコムラサキは今日では栃木の平地に於いても年3化、或いは部分年3化である可能性が非常に高いとの結論を得られたように考えています。 実は本当は10月でも成虫が見られるに違いないと考えていました。ところが今年は10月になった途端に気温が例年に比べてぐ~んと下がってしまいました。 そのせいかどうか10月にも何度か足を運んだのですが結局、成虫は見られずじまいでした。また9月上旬に見られた2齢幼虫も確認出来ませんでした。ですので当地に於ける化性の問題につきましては、もう少し観察例を増やすべく来年以降に再調査する予定でいます。 さて、何故コムラサキの化性の問題にこだわっているのでしょう? その訳は、コムラサキの化性の問題はコムラサキをめぐる “別の謎” の解明の糸口になるかもしれないと考えているからなんです。 その謎とは何かと言いますと「近年の神奈川・東京に於けるコムラサキの分布の拡大」です。これにつきましては「チョウの分布拡大」(注3)に詳しく載っています。この本によれば、この蝶は少し前までは神奈川でも東京でも絶滅危惧種だったのだそうですが、今日では市街地でも比較的、目にすることが多くなり、その分布も拡大し続けていて、特に「南下」が特徴であると記載されています。 ではコムラサキは何故、分布を広げることが出来たのでしょう? この分布の拡大の理由として先の本(注3)には「本種は自力で“分布拡大”した可能性が高いと考えるのが妥当であろう」と記載されています。でも、どうもしっくりとしません。自力で拡大するにしても、それを可能にさせた背景としては「市街地緑地の増加」を挙げているにすぎないからです。これでは、この蝶の分布拡大の特徴である「南下」との関わりについて説明しきれていません。まるで「市街地緑地の増加」が南の地域でだけ起こった現象のようにしか聞こえてきません。 私は今のところは直感でしかありませんが次のような仮説を持っています。 「神奈川・東京のコムラサキの分布拡大の原動力となったのは、この蝶の化性が増えたからではないか?」 「分布拡大の特徴である “南下” は年3化が常態である地域への拡散だったのではないだろうか?」(ちょっと無理があるかな。。) 「神奈川・東京のコムラサキの分布が拡大する以前、即ち、2000年以前は年2化だったのではないか?」 と考えているのです。 この点についてですが隣りの埼玉では少なくとも昭和59年(=1984年)までは年2化であったことがわかっています。(注4)しかし残念ながら神奈川・東京に於けるコムラサキの2000年以前の化性について手元に資料がありません。 ですのでご存知の方がおられましたら教えて頂けると大変に嬉しいです。 (注1)「新・栃木県の蝶」 昆虫愛好会 2000年 (注2)「原色日本蝶類生態図鑑」福田晴夫他編 保育社 昭和59年 (注3) 「チョウの分布拡大」井上大成・石井実編 環境Eco選書12 北隆館 平成28年 (注4)「埼玉蝶の世界」埼玉昆虫談話会編 昭和59年 埼玉新聞社
by clossiana
| 2017-11-03 10:25
| 蝶の不思議
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Comments(6)
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banyan10 at 2017-11-05 07:24
やはり温暖化の影響で3化の地域が増えたのでしょうかね。
コムラサキは僕が蝶の撮影を始めた頃から都内でも数カ所で観察できていました。埼玉でも少ない蝶ではないですが、今年はまともに撮影できていないですね。
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私は2010年頃までこんな身近にコムラサキがやってきていることすら知りませんでした。
2012年の5月下旬から6月上旬にかけて市内でコムラサキを観察撮影し、こんなに早くから羽化してるなんて、これはこの先何化かするんだろうな、と漠然思っただけでした。 ですので2000年以前の化性の状況などまったくわかりませんが、確かに化性の変化が分布に影響するということはありそうですね。
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himeoo27 at 2017-11-05 13:34
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clossiana at 2017-11-07 17:25
banyanさん、コメントありがとうございます。
年3化が常態となったことで従来の発生地における成虫の羽化数が増え、それが分布の拡散・移動などの原動力になったのではないか?と考えております。しかし、それが温暖化と直接、結びつくかどうかは検証の余地があると思います。とは言え温暖化との絡みの可能性は高いような気はします。このパターンはクロコノマとよく似ています。要は一化の発生時期が従来よりも早まったのかどうかが鍵を握っているのではないでしょうか。
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clossiana at 2017-11-07 17:26
naoggioさん、コメントありがとうございます。 多化性の蝶は大抵は越冬明けのころが一番、個体数が少なくて徐々に個体数が増えてきます。ですので年2化と3化とでは発生する個体数の合計がまるで変わって来ます。本種の神奈川における3化の発生数は2化に比べて多いとは言えないようですが、それでも発生する成虫の年間の絶対数は3化が加わったことで飛躍的に増えたとしか思えず、これが分布の拡散の原動力ではないか?と考えています。今は南下だけのようですが、この先は北の地域でも同様の現象が見られるような気がします。
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clossiana at 2017-11-07 17:27
himeooさん、コメントありがとうございます。 この蝶は埼玉でも絶滅危惧種だったのですか。。それにも関わらず貴フィールドでも見られるようになったと言うことは埼玉でも確実に分布が広がってきたか、又は発生個体数が増えてきたってことなんでしょうね。そうでしたか、大変、勉強になりました。埼玉に於いても年3化が常態であること他の方々のブログにもアップされていましたので知ってはいましたが、それと分布の拡大とがイコールであったとは知りませんでした。この蝶の分布の拡大の特徴は「南下」と言われていますが、そうではないってことがよくわかりました。
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