自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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先ず下のグラフを見てみて下さい。これは観察地の公園における越冬中のムラサキツバメの個体数の変遷を表しています。(注1)
これを見た途端に“今シーズンは例年と比べて様相が全く違っているな”と気付かれたことでしょう。即ち、観察地の公園では例年であれば11月末に個体数がピークとなり、それ以降は急速に、或いは徐々に個体数が減り始め、年が明ける頃ともなれば個体数はピーク時の20%以下となるのですが、今シーズンは個体数がほんの僅かしか減っていないのです。 (年末から年始にかけて個体数が減じていますが、この理由は人為的な要因に依るものであることがわかっています。この要因で減じた個体数は少なくとも3集団の20〜30頭です。この分を上記のグラフに反映させれば実際には減っていないのです) でも、それは何故でしょう? それにつきまして私は今シーズンは「暖冬が、例年であれば個体数を減少させる何らかの要因を取り去ってしまったか、又は減じさせているからではないか?」と考えています。 その理由は以下の通りです。 ムラサキツバメの個体数が厳冬期に向かって減少する要因としては次の4っの可能性(注2)がありますが暖冬との関わりを考えてみますと。。 (A)捕食圧 暖冬によって捕食圧が高まる可能性はあります。現に観察地の公園では年末になってもジョロウグモが未だ活動しています。 A-1:しかし捕食圧が高まれば個体数は減るはずです。逆に暖冬によって捕食圧が下がるとすれば、その場合の捕食者とは、一体どんな捕食者でしょう?例えば、この時期に暖かいのが苦手の野鳥っているのでしょうか?そういう野鳥がいるとは思えません。 A-2:一つ考え得ることは「暖冬によって餌となる昆虫類が増えた?その結果として野鳥たちが他の昆虫を多く食べたことによりムラサキツバメに対する捕食圧が相対的に下がった」です。でも、そうとしても減り方が少なすぎるように思われます。 ですから今シーズンの現象は捕食圧の増減には関係が無いように思うのです。 (B)越冬集団が落葉樹に形成される場合 集団が落葉樹に形成されると遅かれ早かれ集団は葉とともに地面に落下してしまいます。しかし今シーズンはそのような集団は見出されませんでした。では、そのことが個体数を減じない理由でしょうか?そうとは言い切れません。と言いますのは過去にもそういうシーズンはあったのです。しかし個体数は減っていきました。 (C)越冬集団の移動(引越し) 越冬集団は何らかの理由により移動することがあります。この場合に、もし移動先がわからないと見かけ上は個体数が減ったように見えます。今シーズンもまた移動が見られましたが、しかしこれは毎年のことで今シーズンに限ったことではありません。ですから今シーズンの現象とは結びつきません。 (D)天候関係 強い風雨、降雪などは個体数を減じる大きな要因です。又冬季の低気温や乾燥も南国出身のムラサキツバメにとっては大敵です。ところが今年は暖冬のせいで気温が例年より暖かく(注3)しばしば降雨にも恵まれました。このことが越冬中のムラサキツバメの死亡率を下げた要因と考えられるのです。それだけではありません。例年よりも暖かい日が続いたことにより、本来は羽化出来ずに死んでいく筈の個体が12月になっても羽化し続けた可能性があるのです。(注4) つまり羽化後に何らかの理由によって死んだ個体の数を補うだけの新成虫が新たに加わった為に総個体数が減らないという現象を生み出したのではないか?と考えられるのです。 しかし、本当にそれだけのことでしょうか?先の文献(注4)を再度、引用させて頂きます。 「静岡や館山では分布拡大がみられる以前の1980年前後の冬季の気温は、高知や和歌山よりも高かった。千葉ではこれらより低かった。分布拡大が顕著になった2000年前後の千葉の冬季の気温は、1980年前後の静岡や高知の気温に近く、場合によってはそれらよりも高かった。2000年前後のつくばでは、1980年前後の静岡や和歌山、高知よりも、特に秋から春にかけての気温はずっと低かった。つまり1980年頃の時点で静岡や館山にムラサキツバメが定着できなかった(越冬できなかった)ということは気温の上からは考えにくく、東海・関東への分布拡大を、冬の気温上昇だけでは説明できない」 上記にも拘わらず、もし気温や湿度だけが要因だったのだとすれば、この先の厳冬期には遅かれ早かれ個体数が大幅に減少する筈です。 本当にそうなるかどうか、もう少し観察を続けてみます。 (注1)観察地の公園の遊歩道に沿って一定の観察ルートを設け、そこで見出された個体数の変遷をグラフにしています。 (注2)拙ブログ2012年2月4日付け (注3)12月の平均気温は例年より2℃高かったそうです。(NHK,TV) (注4)“幼虫の発育零点:6.4~8.9℃、蛹の発育零点:8.3~10.3℃”「ムラサキツバメの発育に対する温度周期の影響」麻生秀徳、井上大成、小山達雄 (日本応用昆虫学会誌 第50巻 第3号) “比較的遅い時期に蛹化した場合には羽化できずに大半が死亡する(井上・小山2003)”「地球温暖化と南方性害虫」積木久明編 環境ECO選書4 北隆館 より「ムラサキツバメの分布拡大と生活史」井上大成著
by clossiana
| 2016-01-08 21:32
| シジミチョウ科
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Comments(6)
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at 2016-01-08 22:53
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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himeoo27 at 2016-01-09 07:51
今季の埼玉県内でも例年と異なりムラサキツバメ
の越冬集団が年明けでも2カ所で観察出来ていま す。 その内の1カ所は、冬の野鳥観察で有名な公園で すが、秩父方面の雪が少なく例年と比べて野鳥が 極めて少ないです。 もう一カ所もすぐ近くに野鳥で有名な別の公園が ありますが、野鳥観察者が少なく野鳥も多くあり ません。 故に、私は野鳥の捕食圧が減ったことがムラサキ ツバメの越冬集団を持続させている要因の主因と 考えています。 従的な要因としては、貴兄が以前記載されたよう に暖冬のためダラダラ新チョウが羽化しているの ではと考えています。見沼田んぼでも1月4日に、 ヒメアカタテハの新チョウが観察出来ました。
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clossiana at 2016-01-10 14:25
鍵コメさん、ありがとうございます。
別途、連絡させて頂きます。
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clossiana at 2016-01-10 14:35
himeooさん、コメントありがとうございます。
そうですか。。今年は野鳥が少ないのですね。私は鳥のことは 殆ど何も知らないのですが、もしこの後に冬型の天候となり低温の日や乾燥した日が続いた場合に、それでも個体数が大きく減少しなければ野鳥説は大きな意味を持つと考えられます。もし個体数が大きく減少したとすれば天候が大きな意味を持っているのだと考えられます。さて、どんなふうに推移するか楽しみですね。
大変興味深い観察結果ですね。
この推移に暖冬の影響があるのは間違いないとして、 他にも色々な要素が複合的に影響しているのでしょうね。 今後の観察結果が楽しみです。 今日はとても寒いので越冬している蝶達がどうしているのかなあと心配になってしまいます。
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clossiana at 2016-01-14 16:26
naoggioさん、コメントありがとうございます。
このところは例年並みの冬型の天気となりましたので↑の推測が正しいかどうか近いうちにでも様子を見に行く予定です。 仰られていますように、この種の個体数を決定している要因は気温や湿度といった単純な問題だけではないかもしれませんが、そうなると、もはやお手上げとなります。でもその方が何か神秘性があって、より魅力的かもしれませんね。
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