自己紹介
1950年生。北海道育ち。
子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は北海道在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 自然散策雑記帳 四季おりおり Googleマップ 最新の記事
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(集団の在処をどのようにして探すのか?についての考察)
蝶は蛾と違って昼行性なのですから視覚が大きな役割を果たしていることは間違いないでしょう。 しかしその蝶も産卵時には母蝶は食草や食樹を見分ける際に前脚や触角を使っていると云われています。 それではムラツはどうなのでしょうか? ムラツが集団の在処をどのようにして探しているのかを次の三つのケースで検証してみます。 (A)集団から飛び出た個体が集団に戻る場合 ムラツは気温が高い日には集団を飛び出て近くの日向で日光浴、吸蜜、吸水、吸汁等をします。 この場合、飛び出た個体と集団との距離は観察地の公園では通常は直線距離にして10m以内が殆どです。 さて集団から飛び出た個体はその後には集団に戻らなければなりません。 今の時期であればどんなに晴れていて暖かくても午後2時頃迄には集団に戻ります。 この集団に戻る個体を観察していて気付いたことがあります。 それは決してやみくもに飛び回って元の集団を探しているのではないということです。 ムラツは何か確信でもあるかのように一気に集団の方向へと向うのです。 考えてみればモタモタしていると急激に気温が下がって飛べなくなってしまうからでしょう。 集団の近くに来ると、今度は独特の飛翔を始めます。 この独特の飛翔とはどんな飛翔なのかは言葉では表現しづらいのですが、一言で言えば何かにまとわりつくような飛び方です。 集団を見つけると、すぐにそれに飛び込んでしまう個体と逡巡して一旦は近くの葉上にとまる個体等、様々です。 この集団を飛び出て、その後集団に戻る迄の一連のプロセスの中でわからない点があるのです。 それは集団のある樹の方向がどうしてわかるのか?という点です。 10mも離れていれば人間の目だって集団の在処などわかりません。 まして集団が葉影にでもあれば、なおさらです。 でもムラツは集団がどこにあるのか、わかっている気配が濃厚なのです。 (B)四散した個体が集団に戻る場合 越冬集団を撮ろうとして集団に近づき過ぎたりすると群れ全体がパッと飛び散ってしまいます。 この経験をされた方も多いことでしょう。 この飛び散った個体はその後、それぞれのペースで元の葉に戻ってきます。 早い個体では数分後、遅い個体でも40分後位には戻ってきます。 この飛び散った個体が戻るプロセスですが↑の(A)と基本的には良く似ています。 (A)との違いですが(A)では集団を形成している全個体が飛び出る訳ではなく、大抵の場合は葉上に残っている個体がいることです。ですから飛び出た個体は最後は残っている個体を目印にすることが出来るのです。 しかし、この場合は全個体が四散しますので集団があった葉には何も残っていません。 ところが何故か戻ってきた個体は前と全くの同一の葉上に集団を再形成するのです。 集団があった葉をどのようにして他の葉と見分けているのでしょうか? 例えば集団がマテバシイの葉上に形成されているところを想像してみて下さい。 この樹は大抵の場合、葉が密生して重なり合っています。 集団が形成されている葉も、その隣や上や下の葉もどれもこれも人間の目には何の変わり映えもしません。 同じ様にしか見えないのです。 ところがムラツは以前に集団が形成されていた全く同一の葉を他の葉と区別出来るらしいのです。 一体どうやって?これが謎なのです。 (C)以前に集団のあった場所にまとわりつく個体 落葉樹に形成された集団はやがては葉とともに落ちてゆく運命にあります。 観察地の公園では2008年にヤマグワやハクモクレン等に形成された集団が葉とともに落下をしました。 ところがその後のことです。 集団があった辺りで独特の飛翔を続ける個体が見受けられたのでした。 例のあのまとわりつくような飛び方です。 近くにはもう集団が無くなっているのに何故、あの飛翔をしていたのでしょうか? これと同じケースは「みなみかぜ通信」のmmerianさんも以前に観察されています。 mmerianさんの方では集団が引っ越しをした後になって集団があった辺りを執拗に飛び回っていたのだそうです。 上記の三つのケースを通して考えてみますと「ムラツがどのようにして集団の在処を探しているのか?」につきまして少なくとも「視覚だけで探しているのではない」と言えそうです。 そのだとすると。。他にどんな感覚器官を使っているのだろう? またまた普段使っていない頭を駆使するハメとなりました。 その結果、いつもの怪しげな仮説に辿り着いたのです。 即ち「ムラツが視覚以外にどんな機能を使っているのか?」と言えばそれは「記憶である」と。。 記憶があるとすれば↑のケースでも辻褄が合うのです。 勿論、更に他の機能も使っているのでしょうが。。 「えっ、蝶に記憶力があるの?」と思われる方もおられるでしょう。 でも蝶の記憶力は少なくともモンシロチョウでは実験を通して確認されています。(注) またまた反論をお待ちしております。 (注)「蝶の自然史」(行動と生態の進化)大崎直太編 北海道大学図書刊行会 2000年
by clossiana
| 2011-12-10 12:08
| 蝶の不思議
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Comments(12)
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banyan10 at 2011-12-10 18:05
普通に考えると嗅覚かなとは思いますね。
1つ提案ですが、集団を飛ばした後で止まっていた葉を取って一部を別の葉に載せてみてはどうでしょうか。そこに集まったら嗅覚の可能性が高いと判断できると思います。葉全体だと記憶説との判断が難しいので、中心部分を切り取って載せるのがいいかと思います。 先日の湘南では集団が消滅したアジサイの集団があった葉に何度も止まるのが観察できました。集団があった場所は排泄物などの匂いも残ると思うので、そこに来るように思います。 明日は千葉の公園へ行こうかと考えていますが、たまに行く僕はこんな実験は畏れ多くて出来ません。(笑)
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clossiana at 2011-12-11 10:02
banyanさん、コメントありがとう御座います。
私も以前は集合フェロモンの如き、何か化学物質が介在しているのかな?と思っていました。でも↑のA,Bの場合は臭いの可能性を残していますがCの場合は集団のあった葉自体が失われていますので臭いは普通に考えれば無い筈なのです。何か一つの感覚器官ではなくて複数の器官が働いているのかもしれません。色々な可能性を消していくためにはbanyanさんのご提案はすごく有効である気がします。来シーズン暖かい日にやってみます。貴重なアドバイスありがとう御座います。千葉の公園は個体数が減りつつありますが未だ50頭以上見られます。
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himeoo27 at 2011-12-11 20:51
神奈川県南部の16~17頭のムラツの集団が形成されていた落葉樹の葉っぱが4~9日の間に落下して、集団は残念ながら四散したそうです。
banyanさんも行かれた上記ポイントは観察しやすい場所なので来年度もまた訪問したいです。
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at 2011-12-11 22:51
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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clossiana at 2011-12-14 05:26
himeooさん、コメントありがとう御座居ます。
そうですか、葉が落ちてしまいましたか。。落葉樹に集団を形成すると遅かれ早かれ落下するのは運命ですね。落ちた日が暖かい日であれば落ちても、そこから飛び立つのでしょうが寒い日だったとすれば樹の下で死んだのでしょう。多分、分布の中心のインドシナ半島あたりでは葉が簡単に落ちるなんてことは無いのでしょうね。観察がしやすい場所を御存知なのは羨ましいです。こちらの公園では低い枝を剪定していますので年々、集団の位置が高くなっています。
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clossiana at 2011-12-14 05:27
鍵コメさん、情報をありがとう御座居ます。別途連絡させて頂きます。
北富士のクロシジミですが、風で相当吹き飛ばされても発生地に戻って来るという話を聞いた事があります。マーキング調査をしていたようですが結果の方は知りません。
でもオオカバマダラなどの例を見ても解るように、昆虫には記憶、またはそれに類するものがあるのは明らかだと思っています。 そういった能力と優れた嗅覚などの相乗効果で塒に戻ることができるのでしょう。 ところで、3枚目の♂♂の写真素敵ですねえ。
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clossiana at 2011-12-19 21:45
naoggioさん、コメントありがとう御座居ます。
色々な蝶で視覚だけでは説明しきれない隠れた能力を秘めていそうですね。御指摘のクロシジミのケースでは確かに記憶力が働いていそうですね。でもオオカバマダラの場合は代を重ねて北方へ広がり、又戻る過程でも代を重ねているようですから個々の個体の記憶ではなくてミツバチの帰巣本能のように何か別の能力を使っていると思われます。いずれにしても不思議な能力を持っていそうで魅力的です。 3枚目の写真は両方に対してピンがあまいのですが逆に両方共ほどほどに撮れていました。この前後の写真はどれも片方にはピンが合っているのに、もう片方はボケボケでため息の連続でした。
明けましておめでとうございます。
この公園を毎日のように見回っている方がおられ、その方たちのブログによると、年末に入ってから各集団の個体数がだんだん少なくなってきたようです。 戻ってこなかった個体は、どこかで尽きたとは思われません。本格的な越冬は別の場所だろうとは思いますが、興味は尽きません。 今年もよろしくお願いいたします。
ダンダラさんに意見されるとは、どのような方かと寄せていただきました。(^^ゞ
京都の南東端の山あいの我が家を訪れるチョウを観察している程度ですので、ムラサキツバメもルースシジミも見たことがありません。 昨冬、ムラサキシジミの単独越冬個体を少しの間見かけて、成蝶越冬するんだと驚き、今冬はムラサキシジミとウラギンシジミの越冬個体を探していますが、まだ見つけ出せていません。 過去記事を1年余り繰って、気にかかったこと、考えもしなかったことに正面からご意見を表明されていて、興味深く読ませていただきました。 今、キタキチョウの越冬個体を7頭観察していますが、触発されてなぜチョウが成虫で越冬するよう進化し(させられ)たかが頭の中でくすぶっています。卵、蛹より安定しておらず、餌、天敵その他メリットが考えにくいように思っています。すでに考え方はあるのでしょうけれど・・・ また寄せていただきますので、よろしくお願いします。
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clossiana at 2012-01-10 19:24
otto-Nさん、コメントありがとう御座居ます。
私の方は7日〜10日に一度くらいのペースで通っていますが、仰られていますように個体数は減っています。この要因は勿論断定は出来ませんが何らかの原因で死んでいるのでは?と考えています。最高気温が10℃以下では殆ど活動が出来ないようですので移動したとは考えにくいのです。但、集団が消えてなくなる現象の解明は殆ど足踏み状態のままです。この謎解きをゆっくりと楽しみながらやっていくつもりです。遅レスですみませんでした。
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clossiana at 2012-01-10 19:25
uke-enさん、コメントありがとう御座居ます。
蝶の生態につきましては図鑑等に詳しく載っていますが、でも実際にフィールドへ出てみるとわからないことだらけでした。それで蝶の撮影と合わせて色々な謎解きを楽しんでいます。でも一番好きなのは蝶たちがいるフィールドに浸っていることなのです。ですから謎解きが出来ようが出来なかろうがそれは二の次なんです。 そのせいかどうか、いつもかなりいい加減な仮説をたてたりしていますので余り信用しない方が賢明かと存じます。 越冬中のキタキチョウを観察されているとのことですが7頭とは凄いです。あの黄色い色は隠れていてもすぐに見つけられそうなのですが、実際には見事に隠蔽しているのだと何かの本で読んでいます。現に私はあれほど沢山いる蝶なのに越冬個体は見たことがありません。 成虫越冬についてですが例えばムラツ、ルー等につきましては日本の個体群は世界的分布から見れば北東端の個体群であることとか、分布の中心地は日本と気候区が違っていて、かの地では冬季が無いこと等も考慮すべき事柄だと思います。 リンクさせて頂きました。今後とも宜しくお願い致します。
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