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自己紹介
1950年生。北海道育ち。 子供の頃に患った蝶への熱病が98年、30年ぶりに再発。今のところ完治の見込みなし。 こまったものだ。 現在は東京在住。 ___________ エキサイト以外のリンク 日本道路交通情報センター あやはべる/撮影日誌 蝶の観察記録 My Favorite Butterflies of JAPAN my蝶あるばむ Hirokou's Field Notes naoggio写真日記 受身の園芸 最新の記事
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(何の為に集団になるのか?についての考察−2)
前ブログからの続きです。 (C)希釈説 色々な動物の群れについての有名な説ですので御存知の方が多いかと存じますが簡単に触れておきます。 「単独でいれば、捕食者に見つかったときに自分が襲われる確率は100%ですが、他にも仲間がいれば狙われる確率は下がります。きわめて利己的な理由から、群れになった方が得策ですだと言えます。」「ただし、このような効果を期待出来るのは、n個体からなる集団に対する捕食者の発見確率が単独個体に対する発見確率のn倍より小さい場合であるのは、言うまでもありません」(注1)というものです。 この説がムラツの冬期の越冬集団に当てはまらないのは明白です。 何故かと言えば冬期のムラツ集団の或る個体が捕食者に襲われたと仮定した場合ですが、その間に他の個体が逃げられないからです。冬期のムラツは動けないのです。 捕食者が鳥だとすれば一度に全部は食べられないとしても翌日、その翌日と餌がなくなるまで通い続けることでしょう。鳥は学習能力が高いからです。 (D)環境改善説 「昆虫は体が小さいので、周辺の気温や湿度の影響をとても受けやすいという欠点があります。熱や水分を吸収したり失ったりするのも、体の表面積に比例します。集団をなして体をくっつけ合っていれば、個体当たり空気に接する表面積は減っていくはずです。ここに寒く乾燥しやすい冬場に集団を形成する最大の理由があると思われます」「カメムシもテントウムシもマダラチョウも、つまるところ越冬集団の意義は、1、温度と湿度を好適に保ち、越冬環境を整える 2、大きな集団になることで、警告色を目立たせるなど、防衛的な効果を期待する のふたつに集約されるようですね。」(注2) この説は著者の藤崎憲治氏が専門のカメムシ類の観察を通じて得られた結果ですが、そのカメムシ類の世界的な分布はムラツと非常に良く似ています。両者とも分布の中心が熱帯、亜熱帯なのです。ではそれを踏まえて、この本を更に読み続けてみますと。。 「熱い熱帯では、そもそも冬がありませんので、昆虫にとっては天国のように思われるかもしれません。ところがそうでもないのです。熱帯でも、雨季と乾季という季節があるところも多いのです。その場合、乾季はしばしばとても過酷なシーズンになります」「冬季という寒い時期だけでなく、暖かくても幼虫が育つ餌がまだ存在しない時期では、成虫は生殖休眠しながら集団を形成して、繁殖に好適な季節が到来するまで待機しているものと考えられます」(注3) 以上、何故ムラツは冬期に集団を形成するのか?につきましての4つの説の概要を紹介させて頂きました。 ここでもう二つ、この謎解きに必要な分布の中心地でのムラツについての記載されている資料を紹介させて頂きます。 「現地に行ってみると標高は最低でも1000m以上のかなり涼しいところに棲息している」中略「熱帯アジアに繁栄する広義のムラサキシジミ類は合計すると300種におよび、一つの地域にはおおむね100種くらいが棲息する。その多くは低地性であり、山地性の種類は10種もないほど少ない。おそらく近縁種との競合から、ムラサキツバメは分布の中心地よりは周辺部へと進出したようである。その結果として、高緯度地域では広い地域に繁栄することになったわけである。」中略「本種は中国大陸では広範囲にみられるが、東南アジアでは局地的に多産し、一般的に稀である」(注4) 「たしかに日本のムラサキシジミ群の各種はたがいに属的な形態差を認め得るが、本種の本場ともいうべき熱帯アジアにおいては、その差異は不明瞭となる」(注5) ムラサキ3兄弟はいずれも多かれ少なかれ集合性を持っています。もし本場では互いに非常に似通っているのだとすればムラツの集合する目的と他の2種は共通である可能性があります。どれか一種を通じて何かがわかれば、それは同時に他の2種のことがわかることを意味しているのかも知れません。 今回の内容は殆ど全てが関係文献からの引用ばかりでした。「 」内は全て引用です。しかしムラツが何故、冬期に集団を形成するのか?の謎解きにつきましては、観察地の公園でいくら丹念に観察をしたとしても、またいくら目を凝らしていてもわからないのではないか?分布の中心地でのことがわからないと謎解きは前に進まないのではないか?もっと視野を広げるべきではないか?との考えから必要なプロセスであったと考えています。今後は上記の諸説を念頭においた上で観察を継続していきたいと考えています。引用させて頂きました方々へは「勝手に引用してごめんなさい」と申し上げます。 注1:「群れろ!」(昆虫に学ぶ集団の知恵)藤崎憲治・鳥飼杏字著 エヌ・ティー・エス発行(2008年) 注2: 同上 注3: 同上 注4:「ゆずりはクラブ」Vol.4.No.11(2002年) 注5:「月間むし」(日本の蝶(19)ムラサキシジミ群 猪又敏男著 No.412 6月号(2005年)
(何の為に集団になるのか?についての考察−1)
冬期にのみ集団を形成する昆虫としてはテントウムシ、カメムシ類、北米のオオカバマダラ等が知られています。 いずれも良く研究されていますので今回はそれらの研究を踏まえた上で何故ムラツが冬期に集団を形成するのか?その謎を考えてみます。 先ず一般的に昆虫が集団を形成するのは、そのことによりメリットが生まれるからであるということが知られています。(注1) 次に冬期にのみ集団が形成される種につきまして、そのメリットとは冬期間中の生存率を高めることであると考えられます。 ではムラツが冬期に集団を形成するのは生存率を高める為でしょうか? これはもともとはそうだったのかもしれません。しかし断定するには早すぎるようです。何故かといいますと。。 (a)先ず観察地の公園での観察結果ですが、殆ど全ての個体が冬期間中に死んでしまうことです。集団の形成が生存率を高めているようには到底思えません。 (b)集団は冬期にのみ形成されますが、ここで或ることを考慮しなければなりません。それはこの蝶の日本の個体群は世界的分布からみると東北端の個体群であることです。分布の中心は中国南部、インドシナ半島等です。(注2)問題はこれらの地域は日本と気候区分が違っていて日本の冬期に相当する季節が無いことなのです。この種が北方に分布圏を広げる過程で、その個体群だけに特有な習性(=集合性)が獲得されたと考えるには無理があるように思えます。もしこの蝶に集合性があるとするならば、それは分布の中心部の個体群にも、その習性が備わっている筈です。 でも冬期が無いとすれば一体どんな時に、何の為に集合するのでしょう?そこが謎なのです。冬の無い地域の個体群にも集合性が備わっていなければならない必然性とは一体何なんでしょう? 上記の(a)を検討するには本来はムラツがどういう理由で死んで行くのか?を分析しなければなりません。しかし、これは順が逆になりますが後日アップさせて頂きます。でも何も期待しないで下さい。 (b)を調べるには分布の中心地での観察が必要になります。でも私には出来そうもありません。しかし多少は文献がありますので類推は可能になるかもしれません。 さて上述の如く色々と制約はあるものの現在考えられる集団形成上のメリットは私の知りうる限りでは以下のような説に集約されます。 (A)枯葉擬態説 (B)視覚認知システムを惑わす説 (C)希釈説 (D)環境改善説 (A)枯葉擬態説 何度か拙ブログ(12月6日付け他)で取り上げてきましたので詳細は省きます。 要するにムラツは集団になることによって枯葉に擬態をしているのではないか?という説です。 実際、観察を初めてから4シーズン目となりますが、この公園では鳥が集団を襲う場面を見ていませんし、またビークマークを持った個体が集団に含まれていたこともありません。従い、有力な説の一つです。 (B)視覚認知システムを惑わす説(拙ブログ5月15日付け) 鳥はどのようにして餌を餌として認識しているのでしょうか? 先ず動き回っているものがいたら真っ先に目に入るでしょう。じっとしていたとしても目を持っているものがいれば対象となっているようです。更に形や色も重要な点です。これらの要素が鳥にとっては餌を餌として認識する上で大きな役割を担っているのです。(注3)一方、虫達の方も食べられているばかりではありません。様々な方法で鳥から身を守っています。即ち、隠蔽色、擬態等が有名ですが、上述の鳥の認知システムを逆手にとれば良いのです。 つまり動かないこと、本当の目の代わりの偽の目を持ち(シジミチョウの多くは後翅に目のような紋を持っている)、更に葉や枯葉のような色合いの翅裏を持つ種もいます。 それではムラツの場合はどうでしょうか? ○冬期の気温が寒い日には動いていません。 ○集団は互いに重なり合うことによって自身の輪郭をぼやかしています。 これらによって鳥の視覚認知システムを欺いているのでは?というのが、この説です。 (C)(D)の説は次回とさせて頂きます。 注1:「新・昆虫記」(群れる虫たちの世界」ギルバート・ウォルドバウアー著(2002年)大月書店 注2:「原色日本蝶類生態図鑑」福田晴夫他著 (1984年)保育社 注3:「天敵なんてこわくない」(虫たちの生き残り戦略)西田隆義著(2008年)八坂書房 ![]()
(ムラツは本当に緑葉を選択しているか?についての再検証)
秋から初冬にかけて形成されるムラツの越冬集団が或る時に消え去ってしまう謎の解明を始めてから、もう4シーズン目です。 この間に判ったことはと言えば殆ど何もわかっていません。 それどころか却って別の謎が次々と出てくるありさまなのです。 そんな中で「ムラツの越冬集団は様々な樹の緑葉上に形成され、この点で近縁の2種とは際立った対照を見せる」という事象は数少ないデータの裏付けのあるものでした。 そしてそれは今シーズンの観察結果でも同じです。 個体数がピークとなった11月28日に観察出来た全個体数76頭の内、緑葉上に見出された個体数は72頭であり、これは全体の94.7%に相当します。 この種が緑葉を好むのは、この数字を見る限るでは明白であり、枯葉や一部が枯れた葉を選択した個体は例外と言えそうです。 ところがふとしたことから「この性質は本当だろうか?」と疑念が生まれてきたのです。 きっかけはダンダラさんが今シーズンに観察された「当初クヌギの緑葉に陣取っていた個体がクヌギが枯れ始めて茶色になっても同じ葉にとどまっていたこと」に端を発します。 「もし緑葉を好むのだとしたら何故、茶色になった時に別の緑葉に移動しないのだろう?」 もう一度、集団の形成過程を考えてみます。 集団は最初から集団なのではありません。 最初は1頭からスタートします。(拙ブログ12月1日'11付け) 最初の1頭は緑葉を選択します。 ところがそこへ2頭目が加わった場合、その個体は何に惹かれて、その葉を選択したのでしょう? 考えられる可能性は? (A)葉が緑色だから、その葉を選んだ。 (B)そこに仲間がいるから、その葉を選択した。 (C)葉の一部が自身の翅裏と同じ色をしていたから、その葉を選んだ。(=仲間を選んだのではなく、色を選んだ) 私は直感でしかありませんが(B)の仲間を選んだのではないかという気がするのです。 それはこの蝶が高い集合性を持っていることが周知の事実だからです。 でももしそうだとすれば、つまり緑葉を選択したのではないのだとすれば↑の計算をやり直さなければなりません。 即ち、集団を形成した全個体の内、最初の1頭だけが緑葉を選択したと仮定し、それ以外は全て緑葉ではなく仲間を選択したと仮定するのです。 そうするとピーク時には9集団だったのですから次の計算式となります。 緑葉上の全個体数72頭ー9頭=63頭 63頭+4頭(最初から枯葉又は一部が枯れた葉を選択した個体)=67頭 67頭÷76頭=88.1% つまり約88%の個体は緑葉以外を選択していることになります。 そんなことを考えながら、いつもの公園を歩いていました。 すると目に飛び込んでくるのは常緑樹ばかりです。 マテバシイ、サンゴジュ、アラカシ、ヤブニッケイ、カクレミノ、ツバキ、キンモクセイ、ヤマモモ、クロガネモチ、ヒイラギ、カナメモチ、クスノキ、シラカシ等々。。遊歩道沿いはこれらの常緑樹で満たされています。 一方の落葉樹ではサクラ、クヌギ、ハクモクレン、コナラ、イチョウ、ヤマグワ等が植えられていますが 全体としては圧倒的に常緑樹が多い感じです。 公園なのでこういう樹種選定となるのでしょう。 それでムラツが緑葉を選んだ理由は単純に周辺に常緑樹が多かったからではないのか? たったそれだけの理由だったのかもしれないなと思いました。 ![]()
(個体数変遷のグラフにピークが2度現れたことについての考察)
昨年と一昨年ですが個体数変遷のグラフにピークが2度現れました。 これにつきましては下のグラフをご参照下さい。 ![]() ところが今シーズンはその現象が見られなかったのでした。 11月末のピークを過ぎた後は穏やかな下降線のなったのです。 しかし、この一見なんでもなさそうな「穏やかな下降線」はとても重要なことを示唆している様に思えます。 (A)先ず年3化と云われている、この蝶が年3化+部分4化になったのではないか?という可能性を否定出来たことです。 部分4化だとすれば12月の或る時点でグラフ上に上昇線が現れた筈です。(注1) しかし現実には2度目のピークは現れなかったのです。 更に3化の発生以降の11月からは追尾、交尾、卵、若齢幼虫等は見出せませんでした。 これらの事実から年4化や年部分4化の可能性は無いと言えます。 (B)次に今シーズンは11月末のピーク以降に何故、個体数が激減する現象が見られなかったのか?についてです。 これは私の直感でしかありませんが今シーズンは秋〜今日に至る迄、強い風雨に見舞われなかったことに起因すると考えています。 このことは言い換えますと今迄はっきりとはしなかった個体数が激減する理由の一つが天気模様であった可能性を示唆しています。 (C)上記の(B)は一方に於いては小鳥による補食圧で減ずる個体数が思っていたより少ないのではないかという可能性をも示唆しています。補食圧は天候の善し悪しにさほど影響されない筈だからです。 もし個体数の減少が全て補食圧によるものだと仮定した場合を想定してみます。 ピークの11月28日'11の76頭から1月4日'12の10頭になるまでの37日間に減じた個体数は66頭ですが、これを日割り計算すると一日あたり0.56頭となります。つまり一日あたり1頭以下の個体が補食されたことになります。 この数字をどのように考えるかですが私は観察地の公園がバードウオッチャーにも人気が高いほど鳥の種類も数も豊富なことを考えれば、この数字はかなり小さいのでは?と考えています。 実際、ここ数年は何度も現地に足を運んでいますが集団を襲う鳥を見たことがありません。見ることが出来たのは昨年の12月15日が初めてでした。この日は気温が16℃位と高い日でしたが梢を逃げ惑うムラツをヒヨドリが追い掛けていたのです。見えたのは一瞬でしたので捕らえられたかどうかまで見届けることは出来ませんでした。でも同じ日にotto-Nさんもヒヨドリに追われるムラツを目撃されていまして、こちらの方は無事に逃げたそうです。 いずれも飛翔中の個体が襲われており、集団に対して攻撃をしている様は依然として見られません。 (注1)年4化の九州では集団の個体数のピークが12月末になるのだそうです。 ![]() 足元には翅が一枚落ちていました。風雨で落ちたとすれば全身が揃っている筈です。 鳥に襲われたのでしょうか? ![]() ![]() 全身が揃っています。 死因不明。
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